教えます!思いがけず私が薬局業務にハマった理由
調剤薬局で調剤補助業務に就いて5年半、さらにこの薬局業務経験がきっかけとなり、mediLabメンバーの一員として働くようになって1年を迎えようとしています。そうなんです、「薬局あるある話」や「mediLabコラム」「mediLab通信」を執筆しているのは、mediLab広報担当でもあり、日ごろは調剤薬局で勤務する調剤C子です。
先日、他店舗に異動した前薬局長と久しぶりに顔を合わせる機会があり、「新しい店舗はどうですか?」と尋ねたところ、「いや~スタッフさんが次々辞めてしまい、続かなくて困っていますよ」と何だか元気がない様子。経営者、薬局長の皆様が人手不足問題、採用時のミスマッチに悩まれているのは、どこの薬局現場においても共通のようですね。
今でこそ調剤薬局勤務丸6年目を迎える私ですが、入職当時は当然のことながらまったくの新人、薬のことなど一切知らず、バイアスピリン錠さえ耳にしたことのないド素人でした。「せっかく採用されたのだから、頑張らなくては」と意気込んだものの、調剤補助業務は想像以上に難しく、スピードと正確さを求められるプレッシャーで「もって3ヶ月くらいでは?」と自信のない日々が続いたものです。そんな私ですが、今や気が付けばまさかの古株二、三番手くらいになっており、自分でも驚いています。(ちなみに一番手は10年以上のベテラン事務さん)。思いもよらず長きにわたり薬局勤務を続けられてきた理由は様々ですが、一言でいえば「薬局業務にハマった」からと言えるでしょうか。
今まさにこれを読んでくださっている方々の中には、
●すでに調剤薬局でスタッフとして働いているものの、
「大変すぎて辛い、もう続けられないかも」「いつまで頑張れば、業務に慣れるの?」と不安を抱え、悩んでいる
●これから薬局での仕事に挑戦しようかと考えているものの、
「未経験の私にできるのかしら」「資格がなくても働けるってホント?」と、迷っている
●経営者としてスタッフ採用、教育を頑張っているものの、
「せっかく採用しても、すぐ辞めて定着しない」「すぐ辞めてしまうから、何度も教育をやり直さなくてはならず、結局自分でやってしまった方が早い」と、困り果て悩んでいる
といった方々がいらっしゃるかもしれません。
思いがけず、調剤薬局勤務6年目に突入した私がお伝えするコラム「薬局業務にハマった理由」「薬局業務に見出す魅力」を通じ、少しでも薬局業務へのモチベーションを高められ、スタッフ採用や教育に向けてのヒントをお届けできましたら幸いです。
※さらに詳しく読みたい方向け:ロング版はこちらから
執筆:mediLab広報・調剤補助C子<薬局あるある話>
「難しくてわからない」を「知りたい!」に変えてくれた調剤補助業務とは
まだまだ子育てに追われる中、少しずつ仕事を再開してみたいとの思いから、いくつかの求人媒体で職探しをしていたある日、こんな募集要項が目に留まりました。
・皆さん日常生活で馴染みある薬局でのお仕事です
・資格不要、年齢不問
・忙しい薬剤師さんのお仕事を裏でサポート
この文言から私なりに想像した業務は、せいぜい「薬をどこかから集めてくるのだろう」「薬局内の整理整頓?」程度でした。
募集文言中のどこをどう探しても、「処方箋を見ながら実際に薬を取り、薬剤師さんに手渡す」とは一言も書いてなかったです。子育て最優先で働くことを条件とし、「近くが一番!」と地元の薬局に応募したにもかかわらず、まさかの本社に呼び出され、暗算テストや薬名の暗記能力テスト、適性検査など2次試験まで経るうち、自分が応募したのは「処方箋を見ながら、自ら一つ一つの医薬品をピッキングする」職務だったと初めて理解、ただただ驚きました。確かに薬剤師さんのお手伝いではありますが・・・採用時の募集文言って、どうにでも書けるのですね。
驚きを抱えつつも難儀なテストを何とか乗り越え、無事採用された嬉しさ反面、薬学部出身でもないのに「処方箋に書いてある薬を実際に取って準備する」ことなぞ、本当にできるのだろうか?と不安を抱えたまま出勤初日を迎えた私は、不安的中どころか、想像をはるかに超えた調剤補助業務内容に再び衝撃を受けました。この驚きや戸惑いはそう簡単には消滅することなく、憂鬱な面持ちで出社したことも少なからずありましたが、業務経験を重ねるうち、勤続6年目を迎える今となっては、調剤室に足を踏み入れた瞬間、「ここぞ私の職場!」とばかりに自然と身体が動く場所となりました。このように感じられるまでは、もちろん様々な困難、苦労も数知れずありましたが、それでも辞めずに何とか続けてこられたのは、もしかすると意外にも「薬局での業務が未経験だったから」ゆえかもしれません。そう、未経験でもできるのです!続けられるのです!私にもできたのですから。
【1】最初は見るのも怖かった処方箋。克服するため1枚でも多く触る!という貪欲な気持ちから。
健康だけが取り柄だった私は、自身がプライベートで調剤薬局にお世話になる機会はあまりなく、子供達が病気や怪我に見舞われた際、せいぜい小児科で出された処方箋を持って出向く程度でした。失礼ながら薬局とは、薬剤師とは「薬を出してくれる所、人」くらいのイメージしかなかった私にとって、いざ処方箋が仕事で扱う対象物となり、処方箋にはこんなにも多くのことが書かれているのか、調剤室に足を踏み入れた瞬間、世の中にはこんなにも多くの薬が存在するのかと、見るもの全てが驚きの連続、逆に言えば新鮮でもありました。たとえば薬局側から見れば当たり前のことですが、
・医薬品には先発品と後発品が存在
・同じ医薬品でも5㎎、10㎎など様々な規格、さらにはメーカーも多く存在
・処方箋に書かれている医薬品は内服薬だけとは限らない。点眼液、内用液、シロップ、軟膏・クリーム、注射、外用など多種多様。これら全てがピッキング対象。
・予製がある場合、実際の処方日数、処方と照らし合わせ、内容変更がないかチェックする
・一包化はなるべくバラ錠を使用するが、一包化に不適な薬もあるため、ピッキング時に要注意
・シート1枚あたりの錠剤数、包数あたりのg量、1本あたりのml量は薬剤ごとにまちまち。処方箋から読み取れる情報に加え、時として脳内変換が必要・・・
など挙げていればキリがありませんが、どれもこれも、薬局を職場とするまで全く知る余地もない話ばかり。調剤しつつ、仮に薬の在庫不足が発生すれば、近隣他局に電話して不足分の小分け依頼、さらに調剤で使った分は発注カードを出すなど、正確さとスピードが追求されつつ、他にも同時進行で行うべきことがあるなんて、神業とさえ思ったものです。
「薬がどこにあるかわからなかったら、棚表見て探してね」と言ったきり、忙しい薬剤師さんは投薬か鑑査でほぼ調剤室にいないとわかった時の衝撃といったら!
「処方箋を確認 → どのメーカー/どの規格の薬を調剤すべきか自身で判断」という、薬剤師から見たらごく当たり前の調剤業務は、バイアスピリン錠さえ見たことも聞いたこともなかった私にとって、とてつもなく大きな壁のように感じました。そうは言っても調剤補助業務に就いたからには、処方箋から逃げるわけにはいきません。次々と処方箋カゴがやってくる中、棚表をめくる時間も余裕もないことくらい、就業後数分もしないうちに新人の私にも理解できたので、とにかく「処方箋を攻略するんだ!」という気持ちで、次のことを実行するよう心に決めました。
●1枚でも多くの処方箋をさわる
●その日出会った処方箋で目にした薬は、先発/後発ともに医薬品名を書き留め、帰宅後に自宅の壁に貼って覚える
【2】処方箋=テスト答案紙に見立て、「調剤ミスなし=100点答案」で達成感が得られるように
こうしてまるで何十年ぶりかの受験勉強の如く、薬局現場ではもちろん自宅にいる時も、薬の名前と向き合う日々が始まりました。先発/後発名の分類をはじめ、剤形や内服/外用などの分類も自分なりにExcelに纏めることで、より記憶付けできるよう工夫も重ねてみました。当たり前ですが、薬局現場ではピッキングをやればやるほど、医薬品名を覚えられるようになります。1ヶ月も経つ頃には典型的によく出る薬はスッと調剤できるようになってきた一方、逆に慣れがミスを呼ぶことも。勝手な思い込みや別規格の存在を知らないなど知識不足により、思いがけないミスやヒヤリハットに繋がった時は反省し、「調剤ミスをしないのが当たり前」と自身に課すうち、「処方箋=テスト答案用紙」に思えてきました。すると面白いことに「ミスなくピッキング=テストで満点」のような気分になり、一日中ノーミスで調剤できるのが当たり前になってくると、さらにモチベーションアップ、今度はより早く!と自らスピード向上を求めるようになったのです。調剤業務レベルを一つ一つ上げていくことで、徐々にではありますが、自信もつくようになってきました。
【3】周りを見渡す余裕が生まれ、調剤以外の業務にも目がいくように
徐々にではありますが調剤業務そのものに慣れてくるに従い、これまで自分の業務だけで精一杯で周りが殆ど見えていなかったのが、薬局全体の様子にも少しずつ目が向くようになってきました。
●いま薬局はどういう状態にあるのか
●入力が止まっているのはなぜか
●お待ちになっている患者様は、どれくらいの時間/どのくらいの人数か
●卸その他業者さんが来訪中、いま対応可能は人はいるか
・・・など、調剤室の奥にいると気付きにくいことも多いですが、心身共に少しだけ余裕が生まれてくるにつれ、待合室にも視線を向けられるように。「いま薬局はどういう状態にあるのか」店舗全体を見渡せるようになってくると、自分にもできそうな仕事は他にもたくさんあるものです。些細なことではありますが、患者様からお薬手帳をお預かりしたり、処方箋や保険証コピーを代わったり・・・一つでも自分にできそうなことがあれば積極的に関わっていくうち、来局頻度が高い患者様のお顔やお名前も少しずつ頭に入ってくるようになってきました。患者様から見れば、みな同じ薬局で働くスタッフなのですから、患者様の待ち時間を少しでも減らし、人手不足で困っているスタッフ仲間同士、助け合う気持ちが生まれて当然ですよね。
自分の薬局以外でも、近隣局に小分け依頼に走るたび、徐々に顔馴染みの薬剤師さんも増え、「この薬なかなか入ってこないけれど、うちはバラ錠なら入れてもらえているのよ」「薬局同士の情報交換会やりません?」など声がかかり、コミュニケーションの幅も広がっていきました。こうなると薬局の中でも外でも、業務が自然とスムーズに流れるようになってきます。発注や他店舗移動作業など調剤以外の業務も任せてもらえるようになり、薬剤師や入力スタッフさん達から「これ、C子さんにお願いしてもいい?」「この入力、どうすればいいかしら」などと徐々に頼ってもらえる場面も増え、充実感と共にさらなる意欲が芽生えてくるようになりました。
【4】思わぬ新型コロナ流行で在宅ワークや休校が相次ぐ中、変わりなく働き続けられたのは薬局だからこそ
薬局勤務にもすっかり慣れてきた2020年1月、思いもよらない新型コロナウイルス流行という非常事態に見舞われました。緊急事態宣言発令下で、多くの企業人たちが在宅ワークを余儀なくされる中、私たち薬局スタッフは医療従事者同様、休校中の子供達を家で留守番させながら、以前と変わりなく現場へ出勤するのが当たり前の毎日に。これまで特に意識することはありませんでしたが、この時あらためて薬局が担う役割の重要性を再認識、子供達からも「薬局ってすごい所なんだね」と言われたのを覚えています。
新型コロナウイルス流行は、薬局業務にも大きな影響を及ぼしました。受診間隔が空くことでこれまで以上に長期処方が増え、来局されない・できない方へのお薬郵送にも追われたものです。中には、不特定多数の人が出入りする薬局内では人との接触を極力減らしたい、お会計ギリギリまで薬局の外で待ちたいなど、これまで見られなかった細々とした患者様リクエストも増え、これら一つ一つに対応するスタッフの人手不足も大きな課題となりました。これを機に薬局を離れていくスタッフもいましたが、残ったメンバーで励まし合いコロナ禍を乗り越え、働き続けてきたことは、今でも忘れられない思い出の一つです。
まとめ:薬局業務は、自身や家族の健康維持・管理にも直結。学ぶ楽しさがある
無資格・未経験ながら、はじめて挑戦した薬局での調剤補助業務。パートという勤務形態自体も初めてゆえ、他のスタッフ仲間とうまくやっていけるのか、自分にはない高い専門知識を有する薬剤師の期待に果たして応えられるのかなど、不安や緊張を伴いながらもここまで長く続けられたことに、自分自身とても驚いています。
比較的、もともと計算や数字に対する抵抗が少なかったため、調剤補助業務に対しても「何とか乗り越えてみよう」という気持ちを保ちながら、調剤薬局とはどのような所か、どのような役割を果たしているのかを深く知ることができたのは、非常に大きな経験になったと言えます。薬局業務を通じて得た経験、知識は、自身や家族の日常生活、健康維持・管理にも直結し、たとえ薬学部出身でなくとも、薬についての情報や知識が蓄積されることにより、学ぶ楽しさにつながり、働き続けられたのだと思います。途中、新型コロナウイルス流行をはじめ、思いがけない環境の変化もありましたが、常に励まし合えるスタッフ仲間に恵まれたのも幸いでした。
いま現在mediLab広報担当として、AIや薬局DXの最先端という思ってもみなかった世界に身を置き、若いメンバー達と日々、最新の薬局事情やAI技術について語り合えているのも、6年前思い切って調剤薬局での仕事に飛び込んだからこそのご縁と言えるでしょう。何事も新しい世界に挑戦することで、次なる新たな世界へとさらに広がっていくことを実感しています。
「これから薬局業務に挑戦してみようかな」と考えている方には、是非一度トライしてみて頂きたいですし、続けるべきかどうしようかと悩んでいる方にとっても、一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
★mediLabでは、このような点に共感頂けるメンバーも募集しています。こちらからぜひお気軽にお問い合わせくださいね。
★薬局の仕事は、とにかく大変ですよね。IT活用したら何かしら色々と解決できそうな気もするけれど、「毎日忙しくてそれどころではない!とにかく人手不足なのよ!」という感覚もよくわかります。mediLabで働きつつ、薬局現場では調剤補助C子として走り回る私自身、全く同じ感覚です。そのようにお悩みの方々も、調剤補助C子はじめスタッフに相談可能なので、ぜひこちらからお気軽にメッセージお寄せくださいね。