【薬局あるある話 第33話】経営陣にも知って欲しい!薬局現場における「処方箋入力の難しさ」

【薬局あるある話 第33話】経営陣にも知って欲しい!薬局現場における「処方箋入力の難しさ」
薬剤師D子

今日の午後、エリアマネージャーの訪問があるそうよ!
今から私は昼休憩に入るけれど、分包機周りなど、念のため調剤室内の最終チェックしておいてくださいね。

調剤補助C子

はーい、了解です!
清掃チェック表の印鑑漏れがないかも、確認しておきますね。
あら、B子さんどうしたの?なんだか浮かない顔だけれど。

入力初心者B子

だってエリアマネージャー訪問と聞いただけで、緊張してしまって。また入力のことで何か言われるかと思うと・・・。

薬剤師D子

そんなに緊張しなくても大丈夫よ~B子さん、最近だいぶ入力に慣れてきているし。

入力初心者B子

そうだといいのですが・・・患者さんが続くと、どうしても焦ってしまって。

いつも通り、お昼過ぎあたりから急に患者様が立て込んできました

しかも一包化、分2処方の91日分、軟膏混ぜ・・・
立て込む時間帯に限って、複雑な処方が重なるのです。検査や受診が終わった患者様が、続々と来局される時間帯ですものね。

エリアマネージャー:
 お疲れ様で~す。
 あれ、ちょっと混んでます?皆さん、患者様をなるべくお待たせしないようにね。さてまずは、調剤室をチェックしてこようかな。

入力ベテランA子

B子さん!新患さん続きだから、新患登録は私の方で一気にやるわね。こちらの方はいつもの定期受診、処方箋2科分ね。
一つは循環器内科の処方箋3枚で一包化、もう一つは神経内科の処方箋1枚だけど、B子さんに入力お願いしていいかしら?定期受診だから、Do入力でいけるかもしれないし。

入力初心者B子

わ、わかりました!
あぁ~2科分入力か・・・一包化の方は全分包かしら?
マグミット錠も分包に含む?まずは患者様に確認してこないと。

それから・・・エンレスト錠100分2だから、半割で入力しないと。C子さん、D子さんにも「半割あります!」って先に伝えなくちゃ。

ひゃあ~しかも神経内科の処方箋は、苦手なドパコール錠の入力だわ。Do入力でいけるかと思ったけれど、日数がちょっと違うみたい。
あ~立て込んでいる時に限って、脳内変換しなくちゃいけない入力が多くて、ますます焦っちゃう。

エリアマネージャーF:
 B子さん、なんだか随分と入力に時間かかってません?
 患者様、次々入ってこられてますよ。入力ミスは困るけれど、ミスに注意しつつ、患者様をお待たせしないよう、なるべく早く入力進めてくださいね。

入力初心者B子

あ、あの・・・いえ、だいぶ慣れてきたはずなんですが、この方の処方箋入力ちょっと複雑で。しかも診療科2科分あるんです。

エリアマネージャーF:
 そんな言い訳していたら、いつまで経ってもA子さんみたいにスピーディーに入力できないですよ。
 しかも先月、「まもる君」を導入したのですから、もっと楽に処方箋入力できそうですけどね?!
 他店舗では、B子さんと同じくらいの入社歴で、もっと早く入力しているスタッフさんがいるんですよ。

薬局長

いえいえ、B子さんはすごく頑張っていて、入力スピードもだいぶ上がってきているんですよ。ただ今日は、N総合病院の外来で複雑な処方が特に多い曜日なんです。

一包化の印字の仕方、軟膏調剤では壷やチューブの希望など、患者お一人お一人によるリクエストも細かいので、どうしても入力に時間かかるんですよ。今、Ⅾ子さんの休憩中だから、私だけの一人薬剤師の時間帯で、サポートもあまりできないですし。

エリアマネージャーF:
 そうは言っても、そこまで難しい入力内容ではないでしょう?まして定期受診の方なら、Do入力でパパっといけそうじゃないですか。

薬局長

いえいえ、入力業務は十分難しいですよ!!
Fさん、参考までにこちらをご覧いただけますか?

「測~る(はかーる)君」という「入力複雑度診断」で、先日導入した「まもる君」に付随したサービスなんです。
単に、入力が難しいと言ってもなかなか言語化しづらく、本部はじめ社内の皆様に実情が伝わりにくかったのですが、「測~る君」は文字通り、薬局店舗における「入力の複雑度合い」を数値化、見える化できるよう、設計されているんですよ。

入力ベテランA子

「測~る君」?!
なんだか、また面白そうものができたんですね。しかも「入力の複雑度合い」が目に見える形だなんて、ビックリです!

薬局長

「入力の難しさ」って、同じ社内でも店舗によって違いますよね。
その違いは主に、日々の来局数処方箋枚数、あるいは処方元の医療機関や診療科目にも起因してきますよね。このように入力を難しくしていると思われる要素一つ一つを取り上げ、掛け合わせることにより、「入力の複雑度合い」を「見える化」実現させたそうです。

掛け合わせる要素としては他に、
 ・薬剤数
 ・複数診療科の受付回数
 ・10文字以上の長文コメントの調剤数
 ・分包/力価単位変換の薬剤数

 などが挙げられるそうですよ。

これによると、うちの店舗は社内でも処方箋入力の難易度が高い店舗の位置づけのようですね。
「入力の難しさ」は言語化するのが難しく、第三者に伝えづらいのが課題でした。我々薬局現場にとっても、採用やスタッフ配置などの際、心強い参考指標になりそうです。

入力ベテランA子

へぇ~「測~る君」、そんなことができるなんてすごい!
本部の皆様にも、うちの店舗の入力の難しさが具体的に伝わるなら嬉しいわ。これまでは「入力が難しいんです」って言っても、なかなか理解してもらえなかったから・・・。

エリアマネージャーF:
 うーむ、これはかなり驚きですね!
 今まで皆さんから「入力が難しい、難しい」と言われても正直あまりピンときませんでしたが、これは薬局現場における入力業務効率向上を図る上で、参考になりそうです。今後のスタッフ採用においても、人数枠や勤務時間帯を再検討した方が良さそうですね。早速、本部経営陣にも報告しておきます。

薬局長

Fさんにも、現場での入力の難しさが明確に伝わったみたいで良かった~。

A子さん、B子さんも毎日頑張ってくれていますが、人手不足が続く状況に変わりはなく、現場を任されている薬局長としては、我々が日々直面している「入力の難しさ・大変さ」はじめ、スタッフ皆さんが抱えている悩みなど、より具体的かつ見える形で社内に発信していきたいのです。

エリアマネージャーF:
 「入力の難しさ」が数値化により見えてきたことで、これを解消するにはどうすべきか、この先の具体的アクションを考えなくてはですね。
 引き続き、現場の皆さんとコミュニケーションを図りながら、AIやIT技術の活用も含め、解決法を探っていきましょう!

入力初心者B子

Fさんや薬局長からの理解ある温かいお言葉、ありがたく心強いです!初心者の私にとって、まだまだ薬局業務は大変だけれど、これを励みにますます頑張っていきたいです。

調剤入力支援AI
まもる君

「薬局で働く人を楽にしたい」思いのもと、これからも引き続き、薬局現場における「入力を難しくしていると思われる要素」を探っていきますよ!
ゆくゆくは、入力複雑度のレベル分けもできたらなぁと思っています。

※「測~る君」:調剤入力支援AI「まもる君」に付随するサービスとして、mediLabで開発・提供中

調剤入力支援AI
「まもる君」